「勉強を始めてみたけど、思ったより難しくて全然勉強が進まない」
「勉強が思ったよりも大変で、時間が全然足りない・・」
このようにならないためにも、独学で資格試験の勉強する前には必ず「計画(スケジュール)」を建てる必要があります。
計画を立てる際、最も大切なことが、正しく自分の必要な勉強期間と時間を予測することです。
今回は、第二種電気工事士を独学で勉強しようと考えているあなたに、必要な勉強期間と時間の算出方法から、独学のメリット・デメリットまで詳しく解説します。
要点まとめ
- 初心者に必要な独学学習期間は3ヶ月、200時間
- 独学の最大のメリットは費用がかからないこと
- 独学学習が難しい技能試験対策だけ、講座を受講するのもおすすめ
目次
第二種電気工事士の難易度はそれほど難しくない
最初にお伝えしたいこと、それは「第二種電気工事士の難易度はそれほど難しくない」ということです。
第二種電気工事士は国家資格です。
国家資格の中には、弁護士資格、会計士資格、医師免許など、合格率は数%という非常に難しいものが数多く存在します。
しかし、第二種電気工事士は国家資格の中でも合格率が高く、比較的取得がしやすい資格です。
ここでは、2つの視点から第二種電気工事士の難易度を確認してみたいと思います。
理由1.必要とされる受験資格がない|だれでも受験可能
第二種電気工事士には、必要とされる受験資格がありません。
例えば医師や看護師などの受験資格は、医師なら6年、看護師なら最低3年間通って卒業する必要があります。
しかし、第二種電気工事士は、電気工学を専攻している必要もないですし、実務経験も必要ありません。
誰でも受験ができる門戸の広い資格です。
理由2.試験の合格率が高い
第二種電気工事士は、筆記試験と技能試験の両方を合格する必要がありますが、どちらも合格率が5割を超えます。
【第二種電気工事士】
筆記試験の合格率:55〜65%
技能試験の合格率:65〜75%
また、下記グラフを見てもらうとわかるように、筆記試験と技能試験を同時に合格する確率も40%〜50%程度あります。
平均的な国家資格の合格率が20%〜30%と言われる中、この数字は比較的高いと感じるのではないでしょうか。
しかし、合格率が高いといっても注意することが1つあります。
それは、運だけでは絶対に合格できないということです。
筆記試験は4択のマークシート式なので、まだ可能性がありますが、技能試験は実際に自分で配線を作る必要があります。
全く知識のない状態で、受験しても絶対に合格できない理由がここにあります。
第二種電気工事士の合格率の推移を知りたい方は、こちらにめちゃくちゃ詳しく書いているので、参考にしてみてください。
第二種電気工事士の勉強時間と勉強期間は?いつから始めればよい?
初心者が独学で勉強する際、必要な期間は3ヶ月、時間は200時間
初心者の独学で1から勉強する際に、必要な勉強期間は、3ヶ月で約200時間だと言われています。
もう少し細分化すると、筆記試験の勉強時間が150時間で技能試験の勉強時間が50時間です。
ただ、仕事や学校などである程度電気の知識を持っている、過去に試験を受験したことがある方は、その分学習時間を短縮することができます。
200時間の詳細
●筆記試験:150時間
・テキスト学習:(100時間)
・過去問対策 : (50時間)
●技能試験:50時間
自分に必要な勉強期間を知るための具体的な方法
「自分がどれぐらいの基礎知識を持っているのか」
「どれぐらい勉強期間を短縮できるのか」
それを、算出するには、テキストと過去問題集を見てみるのが1番です。
実際にテキストを購入し、自分がどの程度理解できるのか確認しておきましょう。
方法1.テキストで概要を確認してみる
1番オーソドックスな方法は、実際に第二種電気工事士のテキストを1冊読んでみて、中身を確認してみることです。
第二種電気工事士の筆記試験の科目は7つあります。
- 電気に関する基礎理論(約5問)
- 配電理論及び配線設計(約6問)
- 電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具(約7問)
- 電気工事の施工方法(約5問)
- 一般用電気工作物の検査方法(約4問)
- 配線図(約20問)
- 一般用電気工作物の保安に関する法令(約3問)
各分野を流し読みしてみて、自分が、各科目でどれくらい理解しているのか。
すぐに理解できそうなのかを確認してみます。
例えば、
「電気工事の施工方法は、だいたい分かるからこの科目の学習時間は減らせるな」
とか
「参考書200ページのうち40ページぐらいはわかりそうだから2割ぐらい時間は削減できるな」
など、ざっくりとした時間を計算してみるのがよいです。
方法2.過去問を解いてみる
もし、過去問を読んでみて、問題の意味が理解できるのであれば、過去問を一回通して解いてみて、自分の理解度がどの程度なのか確認してみるのも良いです。
その際、自分の得意な分野、苦手な分野がわかるので一石二鳥でもあります。
方法3.科目の取捨選択をする
筆記試験の合格点は6割です(30/50問)
なので、最初から満点を狙わずに捨てる科目を決めるのも有効な方法です。
上記でも紹介しましたが、筆記試験は各科目ごとに問題の出題数がある程度決まっています。
「電気理論は全然わからないし5問しかないから捨てよう」
「配線図を20問あるからここには時間をかけよう」
など、捨てる科目、点数を取る科目を決めるのも、勉強時間を設定するのに参考になるでしょう。
月単位の学習期間を細分化する
先程のやり方で必要な学習期間と時間がわかりました。
次に、それを1週間単位及び1日単位に落とし込みましょう。
できるだけ小さな単位に落とし込んだ方が、行動に移しやすいです。
ここでは一例を上げて説明していきます。
今回は、初心者の場合で考えます。
必要な勉強期間は3ヶ月で200時間で考えます。
1日に必要な学習時間を決める
学習期間は3ヶ月で200時間です。
1ヶ月に約66時間、1週間で約17時間、1日約2時間ちょい勉強する必要があります。
毎日同じ時間学習するのであれば、1日2時間ほど勉強すれば良いですし、土日に時間を確保するのであれば、土日に8時間ずつ勉強すれば良いでしょう。
【毎日学習する場合】
2時間 × 90日 = 180時間
【土日に学習する場合】
8時間 × 25日(土日の回数) = 200時間
【土日に多めに学習する場合】
(平日:1時間 × 5日) +(土日:6時間×2日)= 17時間
17時間 × 12週間 = 204時間
土日にしかまとまった時間が取れなくても、できるだけ毎日学習するほうが学習効率がよいです。
試験科目ごとに勉強時間を設定する
今度は、切り口を変えて、筆記試験と技能試験の勉強時間をそれぞれ割り出してみます。
筆記試験の学習時間は150時間、技能試験の勉強時間が50時間程度が理想の配分です。
筆記試験勉強:150時間
筆記試験の学習は、参考書による学習時間が100時間、過去問の学習時間を50時間程度の比率が良いです。
過去問は1年分で10時間程度で過去5年分程度学習すれば良いでしょう。
過去10年分できれば理想ですが、5年分でも合格できる程度の実力は充分につきます。
技能試験勉強:50時間
技能試験については、年初の1月に試験センターより候補問題が13問公表されます。
そして試験当日は、公表された問題の中から1題が出題されます。
なので、技能試験対策はこの13問を解けるようにしておきます。
1問2時間で2周すれば 2×26=52時間です。
1日1問解いていけば1ヶ月弱の期間で完了します。
独学で学習することで時間と手間がかかること
独学で勉強する時に、手間のかかる項目があります。
- 参考書選び
- スケジュール作り
- 工具選び
- 材料購入
これらにも時間がとられるので、予定に入れておきましょう。
1.参考書選び
独学で合格できるかどうかの最も大きな要素が、「参考書選び」です。
あなたに合った参考書を見つけられるかどうかが直接合否を左右するといっても過言ではありません。
良い参考書は人によってさまざまです。
なので、参考書選びは、ネットの評判も大切ですが、それ以上に実際に自分で中を見てみることが大切です。
面倒ですが、本屋に足を運び、実際に自分の目で確認することを強くおすすめします。
2.スケジュールづくり
スケジュール作りについては、先程詳しくご説明したので、ここでは割愛します。
3.工具選び
試験に使用する工具ですが、一番確実で安上がりなのは、試験を受けた知り合いから工具一式を借りる方法です。
ただし周りにそんな人がいない、となると自分で購入するしかありません。
工具は電気工事士の試験用に工具一式がセットになって売っているものがありますので、それを購入するのが良いでしょう。
セットで購入するほうが、個別に購入するよりも安いですし、何よりも手間がかかりません。
4.材料購入
技能試験対策用の材料も用意しておく必要があります。
試験で使う材料は、毎年試験直前になると品切れになることがちょくちょくあります。
なので、早めに必要な材料は早めに確保しておきましょう。
購入方法はホームセンターが安いですが、揃えるのに非常に手間がかかります。
今は、ネットなどえでセット購入ができるので、時間がない方はこちらをおすすめします。
独学の勉強法3選
ここからは、第二種電気工事士の勉強法について3つご紹介します。
その1.参考書で勉強する
自分で、参考書や過去問を買って学習する方法です。
文字を読むのが得意な人は、この方法で学習するのが最も効率が良いです。
自分でテキストを読み進められるので、苦手な分野をじっくり、わかるところは読み飛ばすなど、科目によって読むペースを自分でコントロールすることができます。
また、コストも安く済むでしょう。
参考書と過去問を買えばよいだけなので、5,000円〜1万円程度で揃います。
自分でコツコツ学習できる人に向いている学習方法です。
その2.動画学習する
以前までは参考書か講習でしか勉強はできませんでしたが、近年ではYouTubeをはじめとした無料の動画も多いです。
特に、技能試験対策用の動画は、YouTubeで全問解説してくれている動画もいくつかあります。
文字を普段から読むのに慣れていない人は、動画学習をするのも選択肢としてはありです。
その3.独学サイトで勉強する
「第二種電気工事士 独学」とネットで検索してみるとさまざまなサイトがヒットします。
有象無象のものも多いですが、中には有益なサイトもあります。
あなたに合ったサイトを見つけることができれば、参考書すら買う必要がありません。
独学の鬼門|実技対策をどうするか
第二種電気工事士を独学で学習する際、技能試験をどう対策するかが最も大切です。
ここでは3つの方法を解説します。
方法1.自力で学習する
あくまで、全て独学で学ぶ方法です。
ある程度知識がある方なら、お金もかからないですしいい方法だと思います。
先程もご紹介しましたが、今は無料の解説動画もあります。
ただし、間違って理解していた場合、誰もその間違いを指摘してくれないので、その点は注意しましょう。
方法2.講習会に参加する
第二種電気工事の講習会は全国で多数開催しています。
その中には、技能対策のみ講習もあります。
筆記試験は独学で、技能試験だけは、講習会に参加するという方法もありです。
方法3.通信講座を受講する
また、技能試験だけ通信講座を受講するという方法も良いでしょう。
通信講座の中には、技能試験のみの講座もあります。
講習会の場合、近隣での開催がないため参加できないということがありますが、通信講座ならそんな心配はありません。
時間と場所を拘束されずに学習できるのが通信講座のメリットです。
第二種電気工事士を独学でやるメリット・デメリット
ここまで、第二種電気工事士を独学で学習する方法について、色々と解説してきました。
最後に改めて、独学のメリットとデメリットを整理しましょう。
第二種電気工事士を独学学習するメリット
メリット1.費用が安い
独学最大のメリットは、学習費用が安いということです。
独学で学習できる自信があるのであれば、これ以上安上がりな学習方法はないでしょう。
メリット2.自分のペースで学習できる
独学のもう1つのメリットは、自分のペースで勉強ができることです。
例えば、独学であれば苦手な範囲を重点的に勉強して、底上げができます。苦手分野をなくすことは、試験に合格するためには欠かせない対策です。
このように、苦手な科目は手厚く学習、得意な科目は読み飛ばすなどの時間配分が自由にできます。
また、社会人の場合は仕事などで急に予定が入ることはよくあります。
予備校や、講習会の時は参加できないということもありますが、独学なら仕事の予定などの突発的な用事を気にすることなく、自分のペースで落ち着いて勉強を進めていけます。
メリット
- 安い
- 自分のペースで勉強できる
第二種電気工事士を独学学習するデメリット
デメリット1.計画通り学習できないことが多い
独学ではスケジュールを決めて自分のペースで勉強ができます。
その分、自分が決めたスケジュールが正確でない場合は、計画が大きくずれてしまいます。
そのため、1度遅れた学習計画を取り戻せず、途中で挫折しやすいのが独学のよくハマる罠です。
また、独学は誰もサポートしてくれません。
そのため、モチベーションを維持するのが大きな課題です。もしモチベーションが落ちてしまえば、学習が一気に進まなくなります。
他にも、急な予定で計画通り学習が進まないことも考えられます。
ここで説明したすべてを念頭に置いて、学習を進めなければならないのがデメリットといえるでしょう。
デメリット2.わからないところを誰にも相談できない
独学では、わからない問題が出てきても、相談ができません。
通信講座や講習であれば、先生に教えてもらうことができます。
しかし、独学の場合は、わからないところがあっても自分で解決しなければなりません。
デメリット3.技能試験対策が難しい
最も大きいデメリットが、技能試験の対策が十分にできないことです。
例えば、複線図の読み方から、配線の適切さなどです。
これらは初心者には難解な部分で、電気工事に詳しい人に教えてもらわないとスムーズにいきません。
また、自分がわかっていると思っていても、その理解が間違っていた場合、誰にも指摘しれもらえないというリスクがあります。
デメリット
- スケジュール通りいかないことが多い
- 学習の相談が誰にもできない
- 技能試験対策が難しい
まとめ:費用が理由で独学を選ぶのであれば、通信講座という選択肢もあり
電気工事士の試験は国家試験の中では簡単な部類に入るので、独学でも十分に合格を狙えます。
独学の最大のメリットは、学習費用が安くつくということです。
逆にいうとメリットはそれだけです。
対してデメリットは、いくつかあり、途中で挫折してしまう方も多いです。
「独学で勉強したいけれど少し不安、でもあまりお金をかけたくない」
という方は、通信講座という選択肢は割とおすすめです。
通信講座なら安いもので2万円程度のものからありますし、独学学習と比べても1万円程度の差しかありません。
1万円の差は、1回分の受験手数料とほぼ同じ金額です。
独学で最後まで学習できずに2回受験するぐらいなら、通信講座を受講して1発合格するほうが気持ち良いいですよね。
独学を選ぶ前に、通信講座も1度検討してみてはいかがでしょうか。
興味がある方は、おすすめの通信講座をまとめている記事があるので、参考にしてみてください。